経年劣化ってどこまで認められる? 賃貸での修繕トラブルを防ぐために知るべきこと

経年劣化ってどこまで認められる? 賃貸での修繕トラブルを防ぐために知るべきこと 賃貸の話

賃貸物件を退去するとき、「これは経年劣化です」と言えるものと、「原状回復として修繕費を請求されるもの」の線引きで、トラブルになることも少なくありません。

大家さんや管理会社とのやり取りをスムーズにするためには、経年劣化の範囲と判断基準を正しく知っておくことが重要です。

この記事では、賃貸における経年劣化の考え方や具体例、注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

経年劣化とは?

経年劣化とは、「時間の経過とともに自然に劣化・損耗していく状態」のことです。
つまり、普通に生活しているだけで起こる変化や傷みは、基本的に借主(入居者)の責任にはなりません。

例としては以下のようなものがあります。

  • 日焼けや壁紙の変色
  • 家具の設置による床のへこみ
  • 換気扇やエアコン内部の汚れ
  • カーペットの擦り減り

これらは「通常の使用による損耗」として扱われ、原状回復費用の対象にならないのが原則です。

原状回復が必要になるケース

一方で、「故意・過失・不注意」で発生した損傷や汚れは、借主の負担となります。
以下のようなものは原状回復の対象になります。

  • タバコのヤニによる壁や天井の汚れ・臭い
  • ペットによる傷やにおい
  • 落書きや釘穴、ネジ穴(過剰な数)
  • 水漏れやカビの放置による腐食
  • ワックスの剥がれなどを長期間放置した場合

「うっかりミス」でも、結果として修繕が必要になった場合は入居者の責任となることがあります。

経年劣化が認められるかの判断基準

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が基準になります。
このガイドラインでは、使用年数に応じた価値の減少(償却)を考慮して負担割合を判断することが推奨されています。

たとえば…

  • クロス(壁紙)の耐用年数は6年
  • エアコンの耐用年数は6〜10年
  • フローリングは10〜15年

つまり、6年以上経った壁紙が少し傷んでいても、それは経年劣化として扱われる可能性が高く、入居者に費用請求されにくいというわけです。

トラブルを防ぐためにできること

入居時の状態を記録しておく

入居時にすでにあった傷や汚れは、自分の責任ではありません。
写真や動画で状態を残しておくと、退去時の証拠になります。

退去前に簡単な清掃を行う

原状回復の義務はあっても、「完璧な清掃義務」はないとされています。
とはいえ、最低限の掃除をしておくことで印象が良くなり、無用なトラブルを防ぎやすくなります。

ガイドラインを知っておく

国交省のガイドラインをざっと確認しておくだけでも、請求の妥当性が判断しやすくなります。
「これはおかしい」と感じたら、消費者センターや無料法律相談で相談することも可能です。

まとめ

経年劣化は、「通常の生活を送っているうちに自然に起こる劣化」のことを指し、基本的には修繕費を請求されるものではありません。
一方で、過失や故意による損傷は原状回復の対象になるため、使い方や管理に注意が必要です。

入居時の状態を記録する、退去前に簡単な掃除をする、ガイドラインを知っておくなどの備えをしておけば、トラブルを未然に防ぐことができます。
安心して賃貸生活を送るために、正しい知識を味方につけましょう。

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